リビアに続き、シリアでもアメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタール、イスラエルなどは体制転覆を目指していたが、その間、こうした勢力が偽情報を流していたことを少なからぬ人が知ることになり、しかも地上部隊としてアル・カイダの戦闘部隊を使っていることも明らかになってしまっていた。多くの人が支配層の嘘に気づき、開戦に反対しているわけだ。
しかも、国連の臨時会合でロシアから強力な証拠が提示されたとも伝えられている。中東/北アフリカで体制転覆プロジェクトを推進している勢力は「政府軍が化学兵器を使用した」と叫ぶばかりで証拠を示せないだけに、国連の内部は動揺したようだ。イギリス議会にも影響が及んだとしても不思議ではない。当然、日本の国連代表もこの事実を知っているはずだ。
ジャーナリストのぺぺ・エスコバルのフェイスブックによると、ロシアの国連大使、ビタリー・チュルキンが示したのは文書と衛星写真に基づく情報で、ダマスカスに近く、反シリア政府軍が支配しているドーマから8月21日午前1時半頃、2発のミサイルが発射され、毒ガス攻撃を受けたとされるゴータで着弾していることを示していた。ミサイルには毒ガスを搭載していたとする情報もある。
こうした証拠が示された国連の緊急会合にアメリカのサマンサ・パワー大使は欠席していたという。コメディ映画祭でゲスト・スピーカーを務める夫と一緒にアイルランドで休暇を過ごしていたようだ。パワーは安全保障問題担当の大統領補佐官になったスーザン・ライスの後任。
前にも書いたことだが、このふたりは「人道」を口実に破壊と殺戮を行うというタイプの人間。パワーは本来なら、この会合で活躍しなければならなかった。ロシアが書類と衛星写真を会合で明らかにすることを事前に察知、逃げた可能性もあるだろう。バラク・オバマ政権は窮地に陥ってしまった。
もともと、この化学兵器話はシオニストがアメリカに仕掛けた罠だという説もある。その説が正しいかどうかは不明だが、結果としてアメリカの立場はきわめて悪くなった。そのアメリカに恭順の意を表するなど、正気の沙汰ではない。
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